2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『紺屋高尾』~晦日に月が出る噺~

「女郎の誠と卵の四角、あれば晦日に月が出る」 てな言葉を知っているのにもかかわらず、 「遊女は男をだまして金を巻き上げるもの。こいはこいでも、金持ってこいや」 てなことが、頭ではわかっていても、 「こいつはわしだけに惚れている」 なんて信じてし…

『三枚起請』

教会であっても神社であっても、あるいは寺院であったとしても、結婚式を挙げる理由は一つです。 二人が、少なくとも一方が死ぬまで愛し合うことを神仏に誓うためです。 ということは、神仏に誓わなければ、死が分かつまで二人は愛し合うことができない、と…

『星野屋』効果

石川さゆりさんの『天城越え』(作詞・吉岡治さん 作曲・弦哲也さん)には、 「あなたを殺していいですか」 中西保志さんの『最後の雨』(作詞・都志見隆さん 作曲・富田素弘さん)には、 「君を壊したい」 という、物騒なフレーズがあります。 せっかくの名…

『高津の富』~一獲千金の秘策~

皆からちょっとずつお金を集めてまとまった額になったら抽選で当たったモンにその金を渡すというのが、富くじ、現代で言うところの宝くじでございます。 江戸時代、寺院の造営、再建などを名目に寄付を募るところから始まっているそうですが、収益の一部が公…

『おごろもち盗人(もぐら泥)』『芋俵』~盗人の企画能力~

落語には、盗っ人の噺がぎょうさんございます。 なんでそないにぎょうさんあるのかと申しますと、寄席で盗人をなんぼぼろくそに言うても、それを聞いた盗人が苦情を申し立てることはないからだそうです。 たいがいは、金目のモンがない、戸締りもせえへえん…

『怪談市川堤』

「怪談噺の型」 と、おっしゃいながらお語りになった、二代目露の五郎師(二代目露の五郎兵衛師)の『怪談市川堤』を拝聴しましたのは、もう昔のことでございます。 桂米朝師も、同じく『怪談市川堤』を「怪談噺の型」とおっしゃっていますが、残念ながら、…

『試し斬り』~魅せられたのは刀剣乱舞か妖刀か~

いわゆる名刀が人間として活躍するアイドルグループ『刀剣乱舞』の登場から、日本刀が注目されるようになったかと思います。 それ以前から刀に興味があった私に、あるとき、後輩の女性が、 「先輩は、どの刀が好きですか?」 と問いかけてきましたので、 「…

今日の『宗論』。

『宗論』は、落語だからと言うよりは、日本だからこそでけた噺やないかと思います。 「神様と仏様、名前が違うてはおりますけれど、いずれもおんなじお方」 という番頭のセリフが象徴するように、目に見えない大きな力、エネルギーのような存在を、世界の東…

『鬼の面』と『でっちあげ』

先日、映画『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』(三池崇史監督)を観ました。 福田ますみさんのルポを映画化した作品で、原作も読んでいました。 ルポ、映画が、現代社会の問題点をあぶり出している点を、多々 挙げることはできます。ただ、子どもに焦点を…

『桃太郎』~悪即斬を笑う~

昔話の『桃太郎』を、寝物語に親から聞いた記憶は、ワタクシにはございません。 聞いていたはずの昔話を、単に忘れているだけなのかもしれませんが、簡単なストーリーを記しただけの絵本を眺めていて、 「鬼が島に行って鬼を退治した桃太郎が、その鬼たちの…