《天才バカボン》の生みの親、赤塚不二夫さんの漫画の魅力は、奇想天外なキャラクターにあります。
ケムンパスやニャロメといった動物は言わずもがな、現実離れ、いえ、明らかに浮き世の外に生きる住人たち、殊に《だよ〜んのおじさん》《レレレのおじさん》、この二大おじさんこそ、現代社会の歯車と成り果て、あるいは人知れず車輪の下で苦しみあえぐ人々の、最後のわらしべとして見倣うべきキャラクターではないかと思います。
たとえば、指示に従わない部下を叱責する際、
「ボクはかんかんに怒っているんだよ〜ん」
たとえば、普段は照れてなかなか奥さんに感謝の言葉が言えないけれど、
「いつもありがたいと思っているんだよ〜ん」
軍資金が底をついているときに飲みに誘ってくれた友人に、
「今日は君のおごりだよ〜ん。ごろにゃん」
もし、それで、馬鹿にされたり軽く見られたりしたら、頭のてっぺんに左手(右手?)の人差し指と小指の先端を当てて、
「レレレのレ?」
と惚けてみましょう。
でも、《レレレのおじさん》の真骨頂は、やはりカラオケでマイクを握ったときです。
歌は、
「ララララララ〜ラララ〜」
と、最後に繰り返す曲を選び、そこだけ、
「レレレレレレ〜のおじさ〜ん〜」
と替えて歌います。
これまでにあなたが築き上げてきた真面目で厳しいイメージは、間違いなく破壊されます。
そのとき、部下や家族や友人に、
「どうしたんですか?あなたらしくありませんよ」
と言われたら、一言、
「これでいいのだ!」
あなたは、まったく新しい自分か、さもなくば、本当の自分を発見できるかもしれません。