別冊少年マガジンに2009年から連載されている『進撃の巨人』(講談社コミックスマガジン)の原作者、諫山創さんは、
「読者に媚びることは読者を裏切ることに等しい」
とおっしゃっているそうです。
映画『進撃の巨人』が、当局の意向によって上海国際映画祭での上映ができなくなったというニュースは、まさに、媚びなかった成果ではないかと思われます。
「青少年に悪影響を及ぼす」
といった懸念がその理由のようですが、それは一昔前の、
「エレキギターは青少年に悪影響を及ぼす」
と言って禁じようとした大人の、あるいは、躾だ教育だと宣いながら娘の交友関係を厳しく制限する、実は小心な父親のような言い分ではないかと感じています。
創造や変革が、小心で何かを恐れる人種に媚びないところから生まれるのだとしたら、諫山さんの言葉の中の〈読者〉を、たとえば〈社会〉に、たとえば〈客〉に、たとえば〈上司〉に、たとえば〈社長〉に、たとえば〈彼〉に、たとえば〈彼女〉に、たとえば〈部下〉に、たとえば〈子供〉に、たとえば〈夫〉に、たとえば〈嫁さん〉に、たとえば〈愛人〉に、たとえば〈あの人〉に置き換えて媚びない……
やっぱり難しいかも……なんて思ってしまうから、人生、進撃できないんですね。