『冬の華』から学んだはずの男の魅力

小林稔侍さんに初めて注目したのは、降旗康男監督の東映映画『冬の華』です。

黙って包丁を研ぐ板前役で、まったく台詞はありませんでしたが、その存在感に見入ってしまいました。

役者の魅力は、台詞を口にするときではなく、むしろ黙っているときにこそ表れるということを知らされた映画でもありました。

もちろん、1年前にお亡くなりになった、その『冬の華』主演の高倉健さんの魅力も、〈口数の少ない男の存在感〉にありました。

 

〈口数の少ない男の存在感〉

数十年前に、すでにそれを『冬の華』から学んだはずでしたが、どうしてアタシはしゃべり過ぎてしまうのでしょうか……

 

昨夜も、

「おしゃべりな男やなんて思わんといてや〜」

「しゃべりすぎるとカラータイマーが鳴りまんねや〜」

「しゃべりが面白くなくなったからっちゅうて、金、返せと言わんといてや〜」

 

毎度飲み過ぎては後悔する酒呑みのように、毎度しゃべり過ぎで悔やんでいます。

ついしゃべり過ぎてしまうというのは、裏を返すと自信のなさを表明しているようなもので、中身のない自分を却って見せびらかしているという結果になっているのではないかとわかっているのに、つい得意になって得意のギャグを連発してしまう……

 

でも、最近の小林稔侍さんが台詞の多い役をこなしていらっしゃるところから考えますと、必ずしもしゃべり過ぎが二日酔いと同等であるとは言えないようにも思います。

 

この話を例の友人に……

(え? キミの場合、小林稔侍さんとは、もともと役者が違う……?)

 

なんで、オチがわかりましたんや!