大相撲春場所三日目、東前頭筆頭の琴勇輝関が、横綱日馬富士を倒しました。
実は、上方講談師、旭堂南左衛門師の、ベテラン新弟子、旭堂南鷹さんの創作講談の一つに、この琴勇輝関の物語があります。
講談には『寛永力士伝』など、相撲取りの話が伝わっていますが、現役力士の創作講談などありません。
南鷹さんは琴勇輝関を贔屓にしており、それだけ関取の信頼が厚いがゆえに誕生した講談です。
ですから、
「講釈師扇子でウソをたたき出し」
「講釈師見てきたようなホラを吹き」
てなこととは違います。
「けど、講談師がほんまのことを言うたら、講談師でなくなるんちゃう……」
そんな疑問はさておき、たとえば、仕切り前に、
「ほ!」
と気合いを入れるルーチンワークがトレードマークになっていますが、南鷹さんによれば、あれは最初は、単なる咳払いだった、なんてこぼれ話も聴けます。
それほど懇意にしている琴勇輝関の金星に、南鷹さんもさぞ喜んでいるかと思いますが、今週、土曜日に奈良は〈酒肆春鹿〉のほろ酔い寄席で、この『琴勇輝物語』が語られます。
横綱を倒したときの話なども伺えるかと思います。
そういえば、南鷹さんは競馬にも造詣が深く、競馬新聞に御自分のコーナーを持っておられます。
だから、今、話題になっている新人女性ジョッキーの藤田七菜子さんともきっとお知り合いに違いありません。
紹介していただいて、今度はアタシが彼女の講談を書いて……
(え? 下心?)
やっぱり、わかりますか……