日本の文化とコンビニエンスストアでおでんをツンツンつついた男

今頃、何でございますすが、コンビニエンスストアのおでんを指でつついて、男が逮捕されましたお話で、ふと気がつきますと、落語の『初天神』に登場する子供、トラのおやっさんも、実は類似行為に及んでおります。

 

みたらし団子の蜜をさんざんなめ倒して、それをまた蜜を入れた壷に入れようとしたり、いちいち指をなめて触って子供の欲しがるアメを確かめたりしております。

 

最初に『初天神』でそのシーンを見て笑ったときには、はっきりと意識してはいませんでしたが、

「そんなヤツ、いてへんやろ……」

と、思っていました。

いいえ、ずっと、思っていました。

 

ただ、考えてみますと、落語というのは架空の笑い話ではありますが、それができるきっかけには、それなりの事実があるように思います。

歌舞伎の演目も、小説も、実際にあったことを下敷きに創られています。

 

だといたしますと、買いもしないでみたらし団子の蜜をなめたり指をなめてアメをつまんだりする輩が、実際に存在していたのかもしれません。

 

とはいえ、コンビニエンスストアのおでんをつついて逮捕された犯人には、歪んだ心から発生した悪意が感じられます。

もしかすると、『初天神』の基になった事実にも、そんな悪意が働いていたのかもしれませんが、それを笑いのオブラートで包み込んだのかもしれません。

 

昨日、テレビで歌舞伎『太刀盗人』を見ましたが、やはり盗人を中心に笑わせるお話でになっていました。

 

水戸黄門』を代表に、大上段に構えて勧善懲悪、一刀両断に切り捨てる文化が、日本人の中にあるように思われがちですが、こう考えて参りますと、悪をも笑いに昇華する文化も息づいているように思います。

 

もしかすると、どこぞの寄席で、コンビニおでんツンツンを、すでに笑いのネタにされている噺家さんもおられるかと思いますが、まあ、そんなアホなことは、よせ(寄席)……

                                  デンデン

(たった、これだけのオチのために、こんだけ引っ張ったんか〜!)