自分には、別の人生があったのではないか?
たとえば、もし違う夢を追いかけていたら……
才能も運もないことに気づかぬまま現在の仕事に携わってしまったために、満たされぬ思いを日々抱いているが、自分には本当は別に秀でた能力があって、もしそちらに進んでいたら、人生は変わっていたかもしれない。
たとえば、もし別の人と結婚していたら……
燃えるような恋をして一緒になったために生活に追われるはめになった人生にすっかり疲れていたり、反対に、冷静に判断して結婚したつもりだったのに満ち足りぬ毎日を消化する人生になっていたりしているけれど、もしそうでなかったら、人生は変わっていたかもしれない。
たとえば、あのとき、巡ってきたチャンスをつかまえていたら……
たとえば、あのとき、こっちを選んでいたら……
たとえば、あのとき、勇気を出していたら……
たとえば、あのとき、あんなことを言わなかったら……
たとえば、あのとき、……
だから、
『人生は〝いつでも〟やり直せる』
という言葉が存在するのかもしれません。
でも、やり直した結果、やっぱり思ってしまうかもしれません。
あのとき、やり直そうなんて考えなければ……
それでも、
『人生は〝何度でも〟やり直せる」
なんて誘惑は、どうですか?