言霊が失われるとき

自動音声で、

「ありがとうございました」

と言われて、つい、

「ほんまにありがたいと思うてんのか!」

と、その機械にツッコミを入れてしまうのは、アタクシだけでしょうか……

 

たとえば、苦情を受け付ける電話応対なんかも機械化が進んで自動音声になると、

「申し訳ありません」

てな言葉に、つい、

「ほんまに申し訳ないと思うてんのか!」

と、怒りのツッコミを入れてしまうかもしれません。

 

たとえば、アンドロイドが、

「すばらしい」

とほめたとしても、

「ほんまにすばらしいと思うてんのか!」

やっぱりツッコミを入れてしまうでしょう。

 

たとえば、イケメンのアンドロイドや美人ロボットなんかに、

「愛しています」

と、ささやかれたとしても、

「ほんまに愛してるんか!」

と、きっとツッコミを入れるにちがいありません。

 

機械化が進んで自動音声や言葉を発するアンドロイドがあふれると、言霊、つまり人間の心のこもった言葉が世の中から失われてしまうのではないかと思います。

 

てなことを例の友人に話しましたところ、

「そういうキミも、毎度、本当にそう思って口にしているのか……」

とツッコミを入れられてしまいましたので、

「いや、だから、それはつまり…… いや、だから、ソレハツマリ…… イヤ、ダカラ、ソレハツマリ…… ピー、プシュー……」

(おい! 壊れたフリをするな!)