三題噺・(〈いとこい橋〉改め)薬庫IN伝楽亭《新年会のための新春落語会》

昨日、伝楽亭にて《新年会のための新春落語会》が開催されました。

 

円句師、猿之助師、玄関師、小なん師、かかし師、緑生師など、豪華メンバーによるサ三時間に及ぶ落語会の中で、アタクシ、一人三題噺を口演させていただきました。

 

お題は、《太鼓橋》《忖度》《いとしこいし》で、地震によって水が染み出るようになった薬庫(くすりぐら)の床の土を掘り出してそこをセメントで固める作業をしている医者のもとを訪れた幼なじみが、しばらく帰って来ないことになったという浮気な医者の奥さんを、その薬庫の床に埋めてセメント詰めにするのではないかと、《忖度》するという噺で、かつて医者と奥さんは、

「《いとしこいし》と口説いて渡った《太鼓橋》。たった三月で高砂や……」

と世上に歌われたほどであったということにいたしまして、交際期間が短かったために大変なことになってしまった医者が、

「急いで渡った太鼓橋」

ではなく、

「石橋を叩いて渡ればよかった……」

という台詞で落としましたところ、二十名ほどのお客様から、拍手をいただきました。

 

三題噺でこしらえました落語のほとんどは、そのまま二度と高座にかけることはありませんが、今回の薬庫は、少し手直しをしてから、八景師主催の自作落語の会(2月17日14時開演)で高座にかけようかと思っております。

 

まだ先のことではありますが、よろしければ、皆さんお誘い合わせの上、お越し下さい。

 

 

新年会で使えるかもしれない戌年の言葉……

今年は戌年ですから、新年会の挨拶でもうまく織り込もうと考える方もいらっしゃるかと思います。

 

「犬という言葉は、単独で用いられるよりも、他の動物と合わせて使われることの方が多いと思います。たとえば、〝犬猿の仲〟と申しますと、仲の悪い者同士をたとえた言葉で、うちで言いますと、会長派の部長と社長派の課長のお二人に当てはまるかと思いますが、実は猿より馬と組み合わさった言葉の方が多いようで、会長派でも社長派でも忠実な心〝犬馬の心〟で上司に尽くす〝犬馬の労をとる〟と、〝尾を振る犬は叩かれず〟つまり、ひどい仕打ちにあうことはないということのように見えて、たいていは敬う気持ちなどない〝犬馬の養い〟でありますから、やがて〝咬兎死して走狗煮られる〟という具合に、用が済んだら斬り捨てられることになってしまいます。たとえ切り捨てられなかったとしても、負けた派閥に与しておりますと、結局〝負け犬の遠吠え〟で愚痴をこぼして不遇を託つなんてことになります。こうして見ると、犬という言葉がいい意味で使われることはないようですが、株の世界では〝犬笑う〟と申しまして、戌年は景気がよくなる年になるそうです。今年もいろいろあるかと思いますが、最後は〝犬笑う〟年で終って、さらに来年は…… おっと、来年の話をすると鬼が笑いますね……」

 

お後がよろしい……

 

え?

(こんなもん、新年会で使えるわけないやろ!)

第52回北日本文学賞受賞作品発表と伝楽亭新年会のための落語会演者発表!

北日本文学賞の受賞作品が発表されました。

 

選評を読んでおりますと、結局は、

《人間が書けているか否か》

に集約されるように思います。

 

人間が書けている、というのは、小説の題材に関わらず、主人公の過去からつながった現在が描けているかという点にあり、現在のその状況に対して過去からつながった主人公がどういうことを感じ、何を考え、どんな行動をするのか、ということで、この点は、純文学に限らず、いわゆるエンターテイメント小説でも、基本的には同じようです。

ただ、小説の書き方を指南した書籍の多くは、プロットありきで述べられており、ためにプロットに誘導された人物造型が、却って小説の最も重要な要素を削ぎ取っているという説もあります。

こうした、何がが読み手の心に深く切り込むのかという点が重要であるということはよくわかっているつもりではありますが、わかっちゃいるけどなかなか書けないところが己の才能のなさであり、また精進の不足している証明でもあると思います。

 

その他、三十枚の短編に小見出しをつけるのは却ってうるさく感じられるとか、擬音語がなければよかったとか、他の新人文学賞にも見られる講評がみられました。

 

はてさて、アタクシは、懲りもしないで今年もどんな駄作を恥ずかしくもなく披露してしまうでしょうか……

 

明日、伝楽亭の《新年会のための落語会》で、恥さらし始めをしてしまいます……

 

ちなみに、アタクシの他は、円句師、猿之助師、玄関師、小さん師、緑生師、席亭かかし師と、豪華メンバーが揃っておりますので、どうぞお越し下さい。

1時開演でございます。

新年の言葉・《心に寄り添う》

あけましておめでとうございます。

 

「今年こそ、宝くじを当てて億万長者になるぞ!」

「今年こそ、彼女を作るぞ!」

「今年こそ……」

などと、年中行事のように言うておりますが、年頭に豊富や希望願望を表明、もしくは密かに秘めて一年に臨もうという方は、おおぜいいらっしゃるかと思います。

 

今朝のNHKのニュースによりますと、退位される天皇陛下は、慰霊と復興のために各地を回り、

「人々の心に寄り添う」

ことを、改めてなさるそうです。

 

初詣で祈願する言葉には、

〈家内安全〉〈商売繁盛〉〈合格祈願〉に〈恋愛成就〉、さらには〈世界平和〉などがありますが、不特定多数ではなく、誰かの

《心に寄り添う》

という思いを年頭に掲げる方は、それほどいらっしゃらないのではないかと思います。

 

むしろ、

「あたしの心に寄り添って……」

てな方の方が、圧倒的に多いように思います。

 

新年会なんぞで、

「今年は、お客様視線で〜」

てな挨拶をするよりは、天皇陛下のこの言葉を紹介して、

「陛下のお心のように、今年はお客様の心に寄り添って〜」

なんて挨拶をすると、一味違う挨拶になるかもしれません。

 

アタクシも、

「キミの心に寄り添って……」

なんて口説いて今年こそ彼女を作ってみようかと、新年早々例によって例の友人に語りましたところ、

「キミの場合、『寄り添わないでよストーカー!』って言われるのがオチだとわかっているやろ……」

 

本年も、よろしくお願いいたします。

今年のキーワード

子供の頃から、ノミネートされた作品の中から、なぜその歌が《レコード大賞》に選ばれるのか、その選定理由がよくわかりません。

 

芥川賞》《直木賞》についても、発表時に選評は掲載されていても、なんとなくそんなもんかいな…… てなことを思いながら、実は出版社の意向とか都合とか……なんて話が聞こえてきますと、さあ、その選定基準や選出理由に疑念を持ってしまいます。

 

《今年の十大ニュース》についても、各メディによって選考基準が違うようで、1位が藤井四段だったり、座間市の事件だったり、天皇の退位だったりといろいろです。

 

本来、商業的見地に左右される、いえ、個人の好みによって分かれる音楽や小説の評価は別にして、《十大ニュース》にはその年のキーワードが見えるニュースを選んでもいいように思います。

 

たとえば、トランプ大統領のロシアゲート、森友加計問題、メーカーの不正の発覚、座間市の遺体の発見、精神疾患の娘を社会から隠して死なせた親の事件など、隠されていた犯罪が白日のもとにさらされたということが多かったのではないかと思います。

そうなら、〈隠蔽〉をキーワードにして選ぶとその年が、あるいは現代が、

「ああ、今年は隠蔽の年だったんだな」

「ああ、現代は隠蔽社会なんだな」

なんて括りで語れるように思えますが、どないでっしゃろ……

 

まあ、今年もこないなブログに皆様、よくぞお付き合いくださいました。

 

どうぞ、よいお年をお迎えください。

第59回レコード大賞に……

今年のレコード大賞は、乃木坂46さんの『インフルエンサー』に決定しました。

アタクシ、個人的には三浦大知さんの『EXCITE』を応援しておりました。

 

歌唱力やら音楽性やらなんてことではなく、《仮面ライダーエグゼイド》の主題歌だったからで、もしこの曲がレコード大賞に選ばれましたら、仮面ライダーの地位向上に貢献する、歴史的な1曲になるのではないかと考えたからでございます。

 

もちろん、日本の子供番組が、アニメーションを中心に世界的にも侮れない存在になっており、ために俳優にとっても音楽関係者にとってもかつてとは違う、一つのステータスとして認識されているのは周知の事実ではありますが、その中でも《ウルトラマン》より《戦隊》より《仮面ライダー》の存在価値を高めるものになるかと思います。

 

ただ、残念ことに、アタクシ、この曲を歌うことができません……

難しい……

歌えるのは、《仮面ライダーアギト》まででございまして、つまりは、それぞれのライダーの名前が歌詞に入っているまでということでございます……

                                  デンデン

 

え?

レコード大賞の話やなかったんか!)

ジャッキーチェンさんの『カンフーヨガ』の魅力!

ジャッキーチェンさんの『カンフーヨガ』を見てきました。

 

前にもお話しいたしましたように、ジャッキーチェンさんの映画の魅力は、一切CGを用いず、人間の肉体だけを駆使したところにあります。

それは、ジャッキーチェンさんとその敵役、あるいはショッカーの戦闘員的なアクション俳優のみならず、ヒロインまでもが、

「えー! そんなアクションまでやるの〜!」

なんてガチンコアクションで、それでもジャッキー映画ファンなら、もう慣れていることではありますが、今回は、ライオンやコブラやハイエナにまで見事な演技をさせていたところには、さすがに、やられた、と思いました。

特に、激しいカーチェイスに酔った芝居をライオンがしていたところには、もう脱帽するほかございませんでした……

 

また、設定やストーリー自体は、『インディージョーンズ』に代表される、よくある冒険譚でしたが、こちらが、

「これって、インディージョーンズのパクリやな……」

と思ったところで、

インディージョーンズみたい……」

とジャッキーチェンさん自らの台詞に、笑ってしまいました。

 

さらに、香港映画でありながら、中国に返還されたがための配慮が見られ、最後はインド映画の十八番とも言える楽しいダンスを全員で披露してくださいましたのは、ひとえにジャッキーチェンさんの、徹底したエンターテイメントムービーを作製したいという情熱の表れであったと思います。

 

一時、文芸大作的な要素を盛り込んだ映画もお作りになっていたジャッキーチェンさんでしたが、今回の『カンフーヨガ』に、そうした要素を期待したり、細部の齟齬を指摘したりするような見方は、一切止めてただ楽しむことに徹していただければよろしいのではないかと思います。

 

それにしても、あれだけのロケを敢行してどれほどの制作費用をかけたのだろうと思われた割には、お客さんが少ないのでは、と余計な心配をした次第でありますが、個人的には、その方がありがたかったと思っております。