「これは水みたいな酒じゃ」
「いや、これは酒みたいな水じゃ」
というのが、落語の会話術の一つです。
立場を逆転させることによって意外性を生み出し、聴く者を笑わせます。
「寒いな」
「ホントに寒いな。この分だと、8月は氷河期になっているかも……」
常識にとらわれなければこうなるだろうという発想で、聴く者を笑わせます。
「息子がいつまでもいい加減なことばっかりやっていると言って、お前のお母さんが泣いていたぞ」
「ああ、俺も一人前の男になった」
「母親を泣かせて、どうして一人前の男だと言えるのか!」
「いや、女を泣かせるようになったら、男も一人前だと言うでしょ」
世間で言われていることを、意表をついて拡大解釈することによって、聴く者を笑わせます。
人間関係を円滑にするために、職場でこんな会話術をちょいちょい使わせてもらっていますが、
「あいつには気をつけろ」
と、誰も……、特に女性は信用してくれません。