「サルでもできる〜」
と、よく言いますが、人間社会でサルにできることは、猿回しのサルぐらいではないかと思います。逆に、サルにできることを人間ができるかというと、それも難しいのではないかと思います。
昔、物真似大会に出て、ゴリラとニワトリの物真似で優勝してアメリカ旅行を手に入れた私の先輩でも、猿回しのサルが首にヒモをつけたまま宙返りをする真似はしませんでした。
サルと蔑まれた豊臣秀吉が天下人になった話は有名です。
日光東照宮の〈見ざる言わざる聞かざる〉は、処世術を教えています。
アメリカ映画の〈猿の惑星〉は、人間が滅亡した後、地球を猿が支配していたという結末でした。
にも関わらず、侮蔑の代名詞としてサルが使われるのは、ただ、サルが人間に似ていて不快だというだけではなく、人間がサルを恐れているからではないかと思います。
ですから、かつてアメリカ人が日本人を〈イエローモンキー〉と蔑んだのは、まさに日本人を恐れていた証左だと言えます。
ということで、もし、誰かに、
「サルでもできるような、こんなこともできないのか……」
と侮辱されたら、ペコペコ頭を下げて謝るのではなく、不敵な笑みを浮かべて、
「そんなに俺が怖いのか」
と言ってみるというのは、いかがでしょうか……