特効薬〈一人芝居〉

病院に行ってきました。

行列のできる、人気の女医さんがいらっしゃるという情報を得て行った病院でしたが、診察してくださったのは、白銀初老の男性医師でした。

看護師さんは、絵に描いたように、患者さんの扱いに慣れた、ベテランでした……

恋など芽生えるはずなどないと思っていましたが、会計をするときに、マスクをかけた担当の女性に見つめられて、思わず恋の予感……

「どうぞ、お大事にしてください」

「ああ……、また、熱が上がるかもしれません」

「きちんとお薬を飲めば、大丈夫ですよ」

「いえ、どんな薬でもこの熱を下げることはできません」

「もし、ご病状が回復されないようでしたら、またお越し下さい」

「何度来ても、この熱が冷めることはありません」

「どうしてですか」

「あなたの瞳に、すっかり魅せられてしまいましたから」

ここで院内放送でなぜかジュディ・オングさんの『魅せられて』が流れて……

 

やっぱり私はビョーキです。