名人

「馬に乗ってやっている、というのが上手で、馬に乗せてもらっているというのが、名人でございます」

これは、本日、大阪は堂島にございます、中央電気倶楽部5F大ホールにて開催されました、上方講談師・旭堂南左衛門さんが、ご自身の、

《講談師40年記念特別講演 旭堂南左衛門講談会》

で演じられた、十八番〈寛永三馬術・梅花の誉れ〉の一節でございます。

 

私が最初に拝聴しました講談でもあり、以来、何度か耳にする度に、

「なるほど、これは馬術に限らない話だ」

と感銘を受けながら、いつもすっかり忘れては、

「オレの話を聞け〜」

という自分は、上手の域にも達していないことにも気づいておりません。

名人ならぬ、迷人です。

 

それにしても、その道一筋40年。

続けるだけでも大変ですが、直弟子4人を抱えて活躍されていらっしゃいます。

 

その舞台を拝見しながら、

「ああ、私は何をしているんだろう……」

などと、ふと、思ってしまいました。

 

「ところで、南左衛門さんの講談、どうだった?」

「いや〜、しびれた!」

「そんなによかったのか」

「うん、特に会場がよかった」

「というと」

「電気倶楽部だけに、観客はみんなしびれっぱなし」