40年の縁と運

講釈師として40年。

旭堂南左衛門さんのお話によりますと、先代の南陵師匠の元に一週間、十日と通い詰めて真剣に弟子入りを訴えたというのではなく、ご自宅に招かれて、

「高座名、決めたから……」

ということだったようです。

自らの志や思いとは違うところで、縁とか運とかいうものに導かれるようにその道に足を踏み入れて生涯を捧げるという方は、案外、少なくないのではないかと思いますし、そういう方は、むしろ幸せではないかとも思います。

 

それを考えると、人生、思い通りにいかず挫折を味わうことも、却って新しい道を開くきっかけになっているかもしれません。

そのきっかけに気づくか否かが、幸せの分かれ目になるのではないかと思いますが、問題は、挫折を、縁とか運とかいうものを導くきっかけであると考えて、40年……

 

私は、そこに気づくのがかなり遅かったようで……