たぶん、
『誰でもできる、いつでもできる、どこでもできる「身の丈起業」(筆者・井口晃さん 角川フォレスタ)』
という本が出てから、
〈リスクも資金もなしに、誰でも起業できる方法〉
を示した本が、雨後のタケノコのように書店に並ぶようになったのではないかと思います。
そうした本を読んでみると、
「なるほどこれならアタシにもできそうだ……」
と思いまして、例の友人に話したところ、
「キミの場合、身の丈に合わせた起業を考えるより先に、身の程を知るべきだろう」
確かに、これまで成功するとか大金持ちになるとかいった本をさんざん読んではその気になりましたが、何一つ実を結んだことはありませんでした。
「いや、今までの失敗から自分の身の程をよく弁えているからこそ、今度は身の丈に合わせた起業ができるんじゃないかと考えているんだ」
「そうだ、よくわかってるじゃないか。キミの場合、オーダーメイドワーキングを心がけるべきだよ」
「え? オーダーメイドワーキング?」
「そう。身の程をよく知って、身の丈によく合わせて、身を粉にしてしっかり働く。キミにぴったりフィットした働き方。つまりは、オーダーメイドワーキング。
〈身の程身の丈身を粉に働け〉
ということだよ」
「……それって、ひょっとしたら今よりもっとしっかり働けってことじゃないの?」
「すばらしい! よくわかっているじゃないか!」
珍しく、友人はほめてくれたんですが、素直に喜べないのはなぜでしょう……