使ってみたい言葉《続貂》

三省堂の『新明解国語辞典』で

《続貂》

という言葉を見つけました。

〈すぐれた先人の仕事のあとに、才能の劣る自分がわずかわずかばかりのことをつけ加える時に使う謙譲語〉

という意味が記されて、たとえば、前任者から仕事を引き継ぐ際に、

「はからずも《続貂》の栄にあずかり」

などの、使用例も記載されていました。

 

元々は、晋の趙王倫が力を得て一族を次々に高官に据えた際、本来、貂の尻尾で冠を飾るところを、その貂の尾がなくなって代わりに犬の尾を使って人々が罵ったという故事から出た、《狗尾続貂》が元々の言葉で、

〈つまらない者が権力で次々と高官になりことを罵った言葉〉

〈劣った者がすぐれた者のあとに続くこと〉

というのがが本来の意味だそうです。

 

そこから、

《続貂のそしり》

という言葉もできているのに、その

《続貂》

を引き継ぎの挨拶で謙譲として使うようになったというのは、さすが日本人だと思います。

 

ただ、すぐれた先人の仕事の後を引き継がせてもらうことのないアタクシが、この言葉を使う栄にあずかることはありません……

もちろん、本来の故事のような、誰かに高官にしてもらうようなこともありません……