〈価値〉
という言葉に苦しめられる人は少なくないように思います。
「自分に〈価値〉はあるのだろうか……」
と思い悩んで、自分の価値を誰かに認めてもらうことに汲汲として周囲の目ばかり気にする……
昔、日本でこんなことで悩む人はいなかったように思います。
〈価値〉
てな概念はなく、言葉もありませんでしたから……
〈役に立つ〉
という言葉も曲者かと思います。
「お役に立つなら、光栄に存じます」
なんて台詞は、昔からあるようですから、反対に、
「役立たず!」
てな罵声も生まれたのではないかと思います。
社会的な生物である人間としては、社会で生きていくためには誰かの役に立たなければならないと考えるのは必然かと思いますが、役に立っていないように見えてどこかで誰かの助けになっているという考え方も必要ではないかと思います。
蜘蛛の巣にかかった蝶を助けるのは蝶を生かすことになるかもしれませんが、そこで何もしなければ、蜘蛛の命を助けることになります。
むしろ、
「自分は役立たずで〈価値〉のない人間だ」
と思って平然と生きることが、生物として大事なように思います。
こんなことを例によって例の友人に語りましたら、
「キミが言うと、自己弁護にしかならないよね」