『悪の哲学』ニーチェ先生「蒼白の犯罪者」

『悪の哲学』(筑摩書房)に記載されている、ニーチェ先生の[蒼白の犯罪者](氷上英廣氏訳)は、裁判官に呼びかける形で、

〈あなたがたはその犯罪者を「敵」と言うべきであって、「悪人」と言うべきではない。「病人」と言うべきであって、「悪漢」と言うべきではない。「愚か者」と言うべきであって、「罪びと」と言うべきではない。〉

と述べ、犯罪者の行為の前後には、錯乱があると説いています。

 

だとすると、世の中には「悪人」も「悪漢」も「罪びと」も存在せず、代わりに「敵」と「病人」と「愚か者」が蔓延っていることになるのではないかと、思います。

幸いにも未だ犯罪者のレッテルとは無縁のアタクシは、愚か者を自認しておりますので、ありがたいようなありがたくないようにも思うばかりであります……

 

ちなみに、この[蒼白の犯罪者]はニーチェ先生が、進行性脳麻痺から精神錯乱までの間にお書きになった『ツァラストラはこう言った』の第一部に記載されているそうです……