三題噺・スリ教室

本日、伝楽亭で開かれた、蝶松師主催の『ひふにんの会』にていただいたお題。

『セクハラ』『スリ』『熱中症

 

〈スリ〉の親方が、スリの希望者にスリのいろはを教える設定で、スリ取る技の他に相手の気をそらせることが重要だとして、希望者の若い女性に、

「たとえば満員電車で、〈セクハラ〉親父なんかがよってきて、痴漢行為を働いているすきに、すりとる」

「男だったら、女性の耳元で『ね、ちゅう、しよう』と囁いて、相手が嫌がっているすきにすりとる。痴漢で捕まったとしても、体には触れずに〈熱中症〉と独り言をいっただけだと、言い逃れればいい」

などと伝授して、

「捕まりそうになったらどうすれば……」

という質問に、

「走って逃げる」

「行き止まりで、たとえばドラマなんかで高いところから飛び降りて足を怪我したり、車にはねられたりして死んでしまうてなシーンがありますけど……」

「大丈夫や。車にはねられて怪我しても、唾つけたら直る」

「ほんまですか」

「わしらはスリや。怪我しても、かすり傷ですむ」

                                   デンデン