いわゆる名刀が人間として活躍するアイドルグループ『刀剣乱舞』の登場から、日本刀が注目されるようになったかと思います。
それ以前から刀に興味があった私に、あるとき、後輩の女性が、
「先輩は、どの刀が好きですか?」
と問いかけてきましたので、
「やっぱり和泉守兼定かな」
「私はやっぱり菊一文字。だって、かっこいいいでしょう!」
と、瞳を輝かせて言いました。
「え?」
刀の話ではなく、彼女は、自分の好きなアイドルの話をしていたようでした……
ところで、
『弘法は筆を選ばず』
てな言葉は、
「名人上手は道具の良し悪しにこだわらず、成果を上げることができる」
なんてことを表現しているかと思いますが、剣に生きる者は、己が手にする刀にこだわります。しかし、それが行き過ぎると、自分が妖刀に魅入られてしまい、狂気へと誘われてしまいます。
まあ、剣とともに己を錬磨する侍には、そのようなことはございませんが、刀を握った瞬間、刀身に吸い込まれていた目の色が変わって、
「こやつ、血に飢えておる」
なんぞと口する侍は、時代劇の産物かもしれません。
もしかしたら、妖刀に魅せられる武士と、アイドルグループに魅せられる彼女たちは、同じかもしれません。(知らんけど😵)
落語に登場する侍は、基本的には笑われる役を与えられておりまして、妖刀に魂を奪われる可能性さえない侍が、『試し斬り』で笑われます。
「生きて甲斐ある命ならば、かかる無益な殺生はいたさんが、生きて甲斐無きその方の生涯、身が試しとなれ」
などと言いながら乞食を斬る侍こそ、生きて甲斐無き命である、と暗に落語で主張しているようにも思いますのは、考え過ぎでございましょうや……
そうは申しましても、ワタクシ、こんなセリフがいたって好きでございます。