ギネスブックに認定されていた、117歳の方がお亡くなりになったという報道がありました。
かぐや姫の昔から、人々は不老長寿を願い、また、長命がめでたいことだと一般に考えられているようです。
なにより、〈長寿〉という言葉自体に、〈寿〉という文字がついているところが、その証左だと思います。
でも、〈長寿〉はほんとうにめでたいことなのでしょうか……
不老不死で、歴史に関わる人物が登場するコマーシャルがありますが、死なないけれど、怪我はするし病気にはかかるというところは、不老不死がめでたいとばかりは言えないようにも思います。
「長生きなんてするもんじゃないよ……」
なんてことを口にする方もいらっしゃれば、年を取って、
「お迎えを待っている……」
てなことをおっしゃる方もおられます。
中には、
「長く生きてりゃ、いいこともあるよ……」
と言う方もいらっしゃいます。
「おばあちゃん、長生きでいいね」
と言われて、
「あたしが長生きしてよかったのかどうか、どうしてあんたにわかるんだい」
と応じたという方のお話も耳にしたことがあります。
長生きはめでたいことではない、とお考えの方も少なくないのではないかと思います。
落語には、嫁さんが美人だと旦那は短命で、そうでないと長命だ、なんて噺があります。
月に帰るかぐや姫から不老不死の薬をもらった帝は、かぐや姫のいない世界では無用だと言って、これを焼却してしまいました。
ただ、他の動物は、長寿がどうだととか考えることなく生きていることでしょうから、人間もこだわらないほういいようにも思います……
え?
(てなことを言うてることは、こだわってるということやないんかい!)