偽名の二人

 ほぼ半世紀前に指名手配されていた霧島聡が、死期をさとって、

「本名で死にたい」

 と名乗り出たというニュースがありました。

 その後、死亡した霧島本人か否かを確かめるために、DNA鑑定が行われているとのことです。

 

 「おい、小池!」というインパクトのある手配書で注目を集めた小池俊一は、本名を名乗ることなく、2012年に岡山市で病死しました。

 

 二人とも、偽名で社会に隠れ住んでいたわけですが、霧島は死を前に、どうして本名で死にたいと思ったのでしょうか?その一方で、小池は死んでも本名を名乗るつもりはなかったのでしょうか?

 

 もしかしたら、偽名による逃亡人生は、自分自身の人生を生きていないことになる、と霧島は考えたのかもしれません。もしかしたら、偽名であっても、逃亡犯としての自分の人生を、小池はまっとうしたのかもしれません。

 でも、自分の人生をまっとうして生きているかどうか、てな問いは、もしかしたら、偽名を使って生きた指名手配犯の他にも投げかけることができるかもしれません。

 

 ネット社会となった現代は、本名を隠して誰かを誹謗する者が跋扈する時代です。そうした族は、指名手配犯と同じく、悪事を働いている自分の本名が明らかになって罪に問われることを恐れている、そのような立場に自らを置いているかのようにも見えますが、どうでしょう。

 

 あ! 誹謗中傷は厳に慎んでいますが、このブログもそうでしたぁ~。

 ということは、私は自分の人生をまっとうしていないのかも……